鳥との衝突で傷ついたN-WGN(JH1)のボンネットを補修した話です。
軽い凹みをデントリペアツールで引っ張ったあと傷の研磨を行い、光硬化パテで埋め、エアータッチで塗装しました。途中で何度かミスをして余計な作業を増やしてしまったのが反省点です。
※素人の作業記録です。誤った情報が含まれているおそれがあります。当記事を参照して作業される場合は自己責任でお願いします。
傷の状態
高速道路走行中に鳥と衝突しヘッドライトが砕けました。(詳細は以下の記事を参照↓)
ヘッドライトユニットの交換は完了しましたが、近くのボンネットも被害を受けています。折れ目みたいな傷ができて塗装が剥がれ、サビが発生。
拡大するとこんな感じ↓
鳥の衝突箇所がそのまま傷になったのではなく、衝撃でボンネットの一部が軽く凹み、それに伴って曲げの負荷が掛かった部分の塗装が割れたのではないかと思います。
今回の補修作業の目的は、この部分のサビを処理し、塗装で傷を消すことです。
ちなみに鈑金すると7万掛かると言われました。ディーラー経由の見積もりなので、直接鈑金屋さんに頼めばもう少し安くなるかもしれませんけどね。
もちろん、仕上がりにこだわるのなら業者に頼んだほうがいいです。ただ、これくらいの傷だと塗る範囲も狭いので難易度は比較的低そう。節約のため自分で直してみることにしました。
デントリペアツール
折れ目のような傷になった原因を、傷の上側の鉄板が衝撃で奥に凹んだからだと推測。まずは凹みの修理を始めます。
なお、傷を目立たなくするだけなら削って塗り直すだけで構いません。今回わざわざ凹みを直すことにしたのは、ネットで売られていた格安のデントリペアツールを使ってみたかったからです。
販売元は謎の中国メーカーで、購入時点(2023年5月15日)では2,288円でした。たくさんの業者が似たような商品をAmazonマーケットプレイスに出品しています。
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箱を開けると、プラスチック製タブ、分割されたスライディングハンマー、ヘラ、グルーガンとグルースティック(筒状のホットボンド)が入っています。
まずスライディングハンマーを組み立てます。棒にタブを引っ掛けるパーツをねじ込み、スプリング、金属の重い筒を通し、取っ手を付けたら完成です。
安物デントリペアツールですが、意外にも全体的に悪くない品質でした。説明書がちゃんと理解できる日本語で書かれているのも好印象。
激安中華工具には中国語の説明書すら入っていないことがあります。メチャクチャな日本語の説明書も珍しくなかったです。ただ、AI翻訳の進化がすごいのでこれからは見られないかもしれませんね。原始的な自動翻訳機の文章には独特の味があって面白かったのですが。
さて、このツールの使い方は単純です。凹みにホットボンドでタブを貼り付け、スライディングハンマーでトントン引き出すだけです。
接着力を上げるために、タブを接着する面の汚れを落として脱脂しておくことが大切。泥汚れなどがある場合は洗い流して水気を拭き取ります。そのあと、シリコンオフなど脱脂剤をスプレーし、乾いたきれいな布で拭き上げます。
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次に、タブにホットボンドを塗り、冷える前に貼り付けます。
タブの突起部だけでなく、下のお皿の部分も押したほうが強く接着できます。ホットボンドが縁から少しにじみ出るくらいがいいかも?
さらに接着力を上げるためには、ヒートガンやドライヤーでタブと接着場所をあらかじめ加熱しておくといいらしいです。くっつく前にホットボンドが固まるとよくないということみたい。
しばらく冷やして固まったらスライディングハンマーでトントン引っ張ります。
たっぷり塗ってしっかり押し付けたホットボンドは意外と接着力が強く、数回引っ張るだけでは外れませんでした。この調子で他の凹んでいる部分も引き出していきます。
作業が完了したら車体に残っているタブを外します。無水エタノールを流し込むと接着力が弱まって剥がれやすくなります。付属のヘラも使えます。
タブに残ったホットボンドも無水エタノールで剥がせます。
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なお、無水エタノールは引火しやすいので近くで火を使うのは避けましょう。
引っ張り作業を終えましたが、元々目立たない微妙な凹みだったので、どの程度効果があったのかは不明。触ってみると気持ち平らになったように感じますが……。
あと、傷ができた原因から凹んでいると推測しましたが、傷の上が凹んでいるのではなく、下が曲がっている可能性もゼロではありません。ただ、傷の下の部分、つまりボンネットの縁は補強されていて頑丈なので凹むなら上かなと……。
傷を削る
傷の周囲にマスキングテープを貼ってから傷の研磨を始めます。600番の耐水ペーパーで水研ぎしました。
盛り上がるように割れた塗装を剥がすことに成功。ボンネットの地金が出ています。
削りカスを拭き取ってからシリコンオフで綺麗に脱脂すると、サビが残っているのを発見しました。割れ目から水分が入り奥までサビが進行していたようです。サビがなくなるまで追加で削りました。
ちなみに線キズの補修方法については、タッチアップペンを出しているソフト99コーポレーションのサイト「補修ナビ」が参考になります。簡単な方法から近くで見ても目立たない方法までそれぞれ解説があります。
・外部リンク:補修について調べる|車の傷のDIY補修・塗装なら補修ナビ
エアータッチについて
今回は塗装にエアータッチを使用します。エアータッチというのは、本来筆塗りで使うタッチアップペンをスプレーとして使えるようにするツールです。
筆塗りだと凸凹になったりムラが残ったりすることがありますが、スプレーにするとその心配はありません。
ボデーペンのような缶スプレーとの違いは、より細く狭い範囲に塗料を噴射できる点です。広い範囲を塗る場合はボデーペンが適していますが、ピンポイントで塗装する場合はエアータッチのほうが便利です。
また、使われている塗料の種類も違います。ボデーペンは溶剤系アクリル塗料、エアータッチ(タッチアップペン)はアクリルラッカー塗料です。
成分を見比べると「合成樹脂(アクリル)、顔料、有機溶剤」は共通ですが、タッチアップペンには「ニトロセルロース」が入っています。これがいわゆるラッカー成分で、入っているかどうかで分類が変わります。
一般的にアクリル塗料より、アクリルラッカー塗料のほうが塗膜が硬くて丈夫だそうです。ただ、2液ウレタン塗料よりは弱いです。
塗料の種類が違うため、エアータッチの場合は上塗りに使うクリアーも専用品になります。ボデーペンのクリアー(アクリル)は使えません。ネット情報によれば、ウレタンクリアーは使えるらしいですが、メーカー非推奨です。使うなら自己責任ですね。
また、タッチアップペンのクリアー(X-2 筆塗り用)と、エアータッチ用のクリアーは別物なので注意。「エアータッチこだわりセット クリアー」を使いましょう。
さらに、特注色のタッチアップペンはアクリルラッカーではなく、ボデーペンと同じアクリル塗料なので、ボデーペン用のクリアー(アクリルかウレタン)を使います。
このあたりの塗料の使い分けは結構ややこしいです。メーカーサイトやパッケージをよく確認してから購入することをおすすめします。
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塗装するも失敗
エアータッチは噴射範囲が狭いとはいえ、関係のない部分に塗料が飛ぶと困るのでマスキングを行います。ヘッドライトユニットには室内壁養生マスカーを使用。
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次にエアータッチの準備をします。エアータッチのパッケージには、エアータッチ本体(LPGの缶+アタッチメントのキャップ)と、クイックアダプター、スペアチューブ、説明書が入っています。
これだけでは塗装できないので、ボディ色を調べ、ホンダ用NH875P(プレミアムホワイトPII)のタッチアップペンを調達。
さらに、先に説明したクリアーと仕上げスプレーも買ってあります。仕上げスプレーは、エアータッチ専用のボカシ剤的なやつです。
タッチアップペンの筆つきキャップを外し、クイックアダプターをねじ込みます。
ちなみにエアータッチの紙箱には丸型のミシン目があり、くり抜いて筆つきキャップやタッチアップペンを立てることができます。
次にエアータッチスプレー缶のアタッチメントにクイックアダプターを接続。奥まで差し込むとツメでしっかり固定されます。
これで一般の缶スプレー感覚で塗装ができます。塗りたい面から約6~10cm離してスプレーするとのこと。塗装作業用の防毒マスクを着用してスプレーを始めます。
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確かに塗料の飛ぶ範囲は普通の缶スプレーより狭いです。ただ思っていたよりは広かった。ピンポイントで塗りたかったら、垂れるのを恐れず6cmギリギリまで近づけるのがよさそう。
元が粘り気のあるタッチアップペンなので比較的垂れにくいですが、動かすスピードがゆっくりすぎるとやはり垂れるので注意。塗装の基本に忠実に、回数を分けて乾かしながら少しずつ塗り重ねていくのがいいでしょう。気温によっても垂れやすさは変わります。塗装は奥が深いですね。
間を空けて何度も塗り重ねたのですが、なかなか地金の色が見えなくなりません。しかも、元の塗装と削った部分の段差が目立つようになってきました。どうも根本的に何かを間違っていたようです。
結構深く削ったのでパテ埋めが必要だったみたいですね。塗り重ねれば地金の色は見えなくなりそうですが、段差を直すのは難しそう。やり直すことにしました。
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