ヤフオクにて約10万円で落札したバイク、VTR250(W、初期型)ですが、自走で持ち帰っている途中エンジン不調が発生し、ついに走らなくなりました。
レッカーを呼びなんとか自宅まで運ぶことが出来たので整備を開始します。ボロボロの中古車ということで、修理や整備が必要な箇所は多数。
今回行うのは内側が錆びた燃料タンクのサビ取りです。ガソリンにサビの粒が浮かんでいます。AZの「バイク用燃料タンククリーナー」を使用しました。
タンクを外す
タンクがフレームに付いたままでは整備出来ないので外します。
シートを外す→ボルトを外す→ホースを抜く→タンクを下ろす
の順番でやりましたが、先にホースを抜いてもいいかも。
※外し方が分かっている方は以下のリンクで先へ飛んでください。
シートを外す
タンクを外すためにはまずシートを外す必要があります。シートはキーでロックされています。
この中古VTRにはキーが何本も付いてきたのですが、なぜかメインキーとシートキーは別々になっているらしい。ハズレの鍵を挿しても一切回りません。
ロックシステムは少々大がかり。キー付近に固定用のツメがあるのではなくワイヤーで離れた所をロックしています。
こういう構造にしても部品点数が増えるだけのような気がするけど、普通はこんな感じなんでしょうか。
(YB125SPはちょっと違う仕掛けでした。サイドカバーがロックされていて、それを外すとシートを固定しているボルトが出てくる。)
ロック解除後、シートを後方へずらしながら持ち上げれば取れます。
ボルトを外す
タンクは前後をボルトで固定されています。前側の2本は8mmのメガネレンチで、シートに隠れていた後側の1本は12mmのメガネレンチで外しました。
ホースを抜く
タンクには燃料コックがくっついているけど、こいつはまだ外しません。
まず燃料コックをOFFにし、コックから出ているホース2本を抜きます。(負圧式なのでOFFにしなくても漏れてこないらしいが念の為。)
太いほうはキャブへ行く燃料ホース。コックのつまみ側から見えるやつ。
燃料ホースはキャブの手前で枝分かれしています。これで両側のキャブに燃料を送ってる模様。下の写真の左側ホースがコックにつながっています。
枝分かれの部分は狭く手を入れづらい。コックの側が抜きやすそうなのでそっちで抜きました。
次に細い方。エンジンのリアバンクとつながる負圧ホース。
↓燃料コックの裏側から出ています。
キャブとエンジンをつなぐインシュレーターの下にあたりくっついてます。
コック側は奥まっていて抜きにくいのでエンジン側を抜きました。
↓タンク本体からエキパイのあたりまでドレンホースが出ているけどこれは抜かなかったです。
タンクを引っ張り上げてたら一緒についてくると思ったので。でも、途中で引っかかって勝手に抜けてしまった……あらかじめ抜いといたほうが良かったみたい。
タンクを下ろす
ボルトやホースの撤去が終わったのでタンクを下ろしました。裏側も結構錆びてる。
燃料が沢山入っていると重くて運びにくいです。今回は半分以下まで減っていたのでなんとかなりましたが、量によってはあらかじめ給油口から抜いておいたほうが良さそう。
落とすと凹んで大変なことになるので注意して運びました。
こいつはVTR250の初期型。20年ものなだけあってホースは劣化してヒビが入ってます。
経年劣化したホース類は総取り替え予定です。
ガソリンを抜く
※ガソリンは危険物です。火気厳禁!静電気にも注意。あらかじめ金属に触るなどして除去を。
燃料コックに適当なホースをつなぎ、携行缶に出せないか試してみたけどやっぱりダメでした。ONでもRESでも出てきません。
負圧式なので負圧ホースを吸ったりすれば出てくると思うけど、まどろっこしいので上から抜くことにしました。
ポンプで上から抜く
ガソリン用の手動ポンプを給油口から入れて吸い出します。
灯油用のポンプは電気を通さないとかでガソリンには使用禁止らしい。ガソリン用を使ったけど自動車向けなので長いです。ここまで長くなくてもよかった…。
タンク内は結構汚れていたので携行缶側にお茶パックを装着。サビの粒がたくさん取れました。
これがキャブに流れると思うと恐ろしい。VTR250には独立した燃料フィルター(濾紙タイプ)が付いていない模様。コックの燃料を吸い出す管の所に網のようなものがあるだけ。
網でもある程度は取れると思うけど、念の為に社外品のフィルターを追加したいです。
コックを外して抜く
ポンプで2.5リットルくらい抜けたけど、まだチャポチャポ音がします。これ以上は上から抜けそうにないので燃料コックを外し下から出すことにしました。
コックは大きな六角ナットで固定されています。手持ちのスパナでは外せそうにないので大きめのモンキーレンチでも買おうと考えたのですが、ウォーターポンププライヤーがあることに気付きました。
電気工事士試験用に買ったホーザン製。試験が終わったら使う機会は無いと思ってたけど、出番があってよかったです。
緩めてスポッと抜く。
あとは携行缶の上にガソリン用じょうごを乗っけて、タンクから直接ガソリンを排出。
それでも微量のガソリンがタンク内に残るので、注射器と耐油チューブで吸い出すなり、火気のない所に放置して乾かすなりするといいと思います。
タンク内を洗浄する
タンククリーナーでサビ落としをする前に、洗浄と脱脂を行います。
タンクに中性洗剤と水を入れ振ってから排出を何回か繰り返す。油分が無くなったら完了。今回は中性洗剤だけでなくパーツクリーナーも使ってみました。
本来コックの穴はコルクやゴムを使って塞ぎます。でも、このコックは燃料漏れしているので新品交換して廃棄予定。取り付けて作業をしました。
ボルトでサビを落とす際の注意点
大きなサビを落とすためにはタンク内にボルトなどを入れてガシャガシャ振るのがいいという情報を得たので試してみましたが、あまりおすすめできない方法だと分かりました。
確かに物理的にサビが落とせるのは魅力だけど、ボルトが出てこなくなります。
VTRだけの問題かもしれないですが、給油口周りの形状の関係で非常に取り出しにくいです。
筒状になってタンク内に入り込んだ形状なので、タンクを上下逆にしてボルトを取り出そうにも引っかかって出てきません。磁石で釣ろうと思ったけどタンク本体にくっついてしまう。
仕方がないので給油口から指を入れつつタンクを上下に振って、ボルトが飛び上がったところを掴みます。結局全部取り出すのに1時間以上掛かりました。もう二度とやりたくないぜ。
物理的にサビ取りをする場合ボルトではなく、ナットの穴に針金を通し数珠みたいにして引っ張れば取り出せるようにするなど、工夫しておかないと苦労すると思いました。
ケミカルでサビ取り
物理的なサビ取りは終了。次は薬品でサビを取ります。
使用したのはAZの「MOrs-001 バイク用 燃料タンククリーナー」。パッケージと販売ページの商品名が違っているのがちょっと謎。
他のバイクで使ったものを再利用。前回はほとんど汚れていないタンクに使ったのでまだまだ綺麗。初回は写真手前の液体を水で薄めて使い、奥のポリタンクで保管してました。
タンクのサビ取りでは、花咲かG タンククリーナーという製品が有名だけど、AZのほうが安いです。
注いで放置
初回は原液を50度くらいのお湯で薄めるのですが、約10Lある使用済み液を加熱するのは面倒。外が暑いので大丈夫だろうとそのまま注入。
あと、上に書いたように燃料コックを付けたまま液を注いだけど、本来は外してコルクやゴムなどで栓をしたほうが良いです。
給油口からこぼれるギリギリまで液を入れ、木切れやゴム板などでフタをして放置。頑固なサビでも最長24時間までと説明に書いてあります。
無視して2日半くらい放置したけど穴は開きませんでした。ただし推奨はしません。
フタを開けると液が真っ黒になっていました。
液を排出してからホースの水圧でしっかり洗浄。黒い液やサビの粉が出てこなくなるまで洗う。そしてあらかじめ取り分けておいた液ですすぐ。そうしないと水によってサビが再発するらしいです。
液が抜けない問題
このタンクは液が抜けにくい構造になっています。上下から抜こうと試みたものの、すすぎ液が結構残ってしまいました。
ほぼ水なのでガソリンみたいに簡単に揮発してはくれない。仕方がないから注射器とチューブで吸い出す。傾けて一箇所に集めてチューチューと。
これが結構大変。うまくチューブの先が液のあるところへ行ってくれない。こんなことをしなくても簡単に抜ける構造にしてほしかった。
それ以前に錆びないタンクにしてくれれば全て解決。バイクのタンクはサビに対してあまりにも無防備。最初からコーティングするとかでサビが出ないようには出来ないんでしょうかね。
タンク内を乾燥させる
すすぎをしたと言っても濡れたままだとサビが再発しやすい。なるべく早く乾かす必要があります。
ドライヤーで温風を当てましたがそう簡単には乾きません。
使い続けると本体が熱くなり温度センサーによって自動停止。
手も疲れたので靴乾燥機を使うことにしました。固定して長時間温風を当て続けることができます。ただしドライヤーに比べ温度は低め。
時々タンクを振ってやって水分を分散させたほうが乾きやすいと思います。もしエアーコンプレッサーを持っていたらブロワーで吹き飛ばしてから乾かすのも良さそう。
サビ取り完了
サビ取り前後の写真を比較。初めがこれ↓ メチャクチャサビてる。
サビ取り終了後がこれ↓ サビがしっかり無くなっています。ケミカルってすごい。
今回はここまで。次回は「POR-15 タンクシーラー」でタンク内のコーティングをします。