旅行で訪れたベトナムのバイク事情が日本とは全然違っていて面白かったので記事にしました。写真もあります。
凄まじい数のバイク
イメージ通り、道を走るバイクの数が日本とは桁違いでした。バイクの集団が波のように押し寄せてくるので道を横断するのも命がけです。
信号機が少ないので何もないところを横断する機会が多いです。たとえ信号が青でも曲がってくるバイクの数が凄まじい。
生活の足
ベトナムでは公共交通機関が十分に整備されていません。クルマ(四輪)は値段が高いです。自然の成り行きとしてバイクに乗ることになります。
ツアーのガイドさんから聞いたのですが、クルマは税金が高すぎてとても庶民には手が出せないようです。
税金のせいで他国の2~3倍の価格になるとのこと。何のためか知りませんが政府によって買いにくくされている模様です。
クルマも走ってはいるけど一部のお金持ちの乗り物です。(トヨタ、ホンダ、マツダなど日本メーカーの車もいました。)
一般市民にとってはバイクが生活の足。一家に一台必須です。無いと暮らしが成り立ちません。タンデムしている人も多く、日本では考えられないほど大量の荷物を積んでいる光景も見かけます。
HONDAが人気
見かけたバイクのメーカーは大半がホンダ。感覚的には8~9割くらいがホンダのバイクという印象。調べてみると実際のシェアは約7割(2016年時点)らしいです。
「Air Blade」(エアブレイド)という125ccスクーターが人気のようで、あちこちで見かけました。
「Air Blade」は、水冷4ストローク単気筒エンジン搭載。キャブレターではなくインジェクション。スマートキーも選べます。なかなか現代的な乗り物ですね。
自分の乗っている中華バイク「YB125SP」よりも充実した性能&装備です。途上国のバイクはみんな空冷でキャブ車というイメージが覆されました。ベトナムって結構豊かなのかな?
外部リンク:ホンダベトナム二輪公式サイトの「Air Blade」紹介ページ
余談:キャブレター車と排ガス規制
国内メーカーの途上国向けバイクが販売店によって独自に輸入され、日本でも売られていますが、まだまだキャブ車が多い感じ。インドホンダ製の「NAVI 110」というスクーターが話題になりましたがあれもキャブでしたね。
ここで不思議な事が一つ。海外から持ってきたバイクは国内の排ガス規制を受けてないみたいなんです。
国内向けモデルを見ると、年々厳しくなる規制をクリアできず多くの車種が生産終了になっています。比較的年式の新しいインジェクション車までやられてます。ちょっと厳しすぎやしませんかね。
その一方、規制が緩い途上国から輸入されたキャブ車が堂々と売られています。大丈夫なのかこれ…。メーカーは正規販売出来ないけど、販売店が海外で買って運んできたら売ってヨシというのは不思議ですね。
ちょっと調べたところによると、250cc以下のバイク(車検が無いやつ)には抜け道があるみたい。排ガス関連の書類がなくても通関証明書だけで登録できる(=ナンバーが取れる)ということらしいです。
※ちょっと調べただけなので情報の正確性は保証できません。
「Air Blade」と「PCX」
日本でもおなじみのスクーター「PCX」も走っていますが、たまに見かける程度で他の車種(Air Bladeなど)と比べると大分少ない感じです。
「PCX」は日本の125ccスクーターの中でも若干価格が高め。ベトナムでは高級車扱いなのでしょうか?気になったのでベトナムでの販売価格を比較してみました。
- 「Air Blade」41,090,000 VND(約21万円)
- 「PCX(125cc)」56,490,000 VND(約28万円)
※1円=200VNDで計算。VNDは通貨ベトナムドンの略。
日本円にして7~8万円の差がありました。この差を大きいと見るか小さいと見るかですね。ベトナムの給与水準から考えると結構大きい気がします。
エンジンスペックにほぼ違いがないので、足にするなら安い「Air Blade」が選ばれますよね。デザインも悪くないですし。
「PCX」はやっぱり高級車。ただ、日本仕様(2018年現行モデル)の34万2360円と比べるとお求めやすい価格設定になっている模様です。
なお、「Air Blade」は最安モデルというわけではありません。次に紹介するカブ系バイクが最も安価で、10万円未満のものもあります。
スーパーカブがいない?
途上国のバイクはスーパーカブばかりというイメージを持っていました。ですがベトナムには日本人が「カブだ!」と思うあの形のカブはほとんどいませんでした。
そのかわりスクーターのような外装で、荷台が無く、タンデムできる長いシートが付いた姉妹車が沢山走っていました。
自動遠心クラッチ、ロータリー式のトランスミッション、横型のエンジンという部分は共通ですが、雰囲気は日本のカブと全く違います。

「Future 125cc」 ホンダベトナム二輪公式サイトより引用
上の写真はベトナムで売られている「Future」というバイクですが、よく見ないとカブ系だとは分かりませんね。まるでスクーター。

カブ系ラインナップ ホンダベトナム二輪公式サイトより引用
ラインナップの「XE SO」(※Oの上に声調記号)というカテゴリがカブ系のようです。「Future」の他、「Blade」「Wave Alpha」「Wave RSX FI」があります。日本で売られている形のスーパーカブはラインナップに入っていません。
スクーターっぽいMT車
他のカテゴリですが「XE TAY GA」がスクーター、「XE CON TAY」がマニュアル車(クラッチレバー付き)を意味しているようです。
「WINNER(150cc)」というバイクがまた面白い。これもデザインはもろにスクーターですが、スペックシートを見てみると変速機が常時噛合式6段リターン。要するに6速マニュアル。スクーターやカブではなくMTバイクなんです。

ホンダベトナム二輪公式サイトより引用
我々日本人は、こういうデザインのバイク=スクーターだと刷り込まれています。だからカブやMT車がこの形なのは違和感があります。ですがベトナムの人達にとっては特に変わったことではないのかもしれません。
変速機の形式に関わらず、バイク=こういう形だという認識なのかも。文化の違いって面白いです。ラインナップを見るだけでも、全く異なったバイク観を持っているんだろうなと感じさせられます。
外部リンク:ホンダベトナム二輪公式サイトのラインナップ
大排気量車は?
ラインナップを見てみると125cc以下の足バイクが中心。150ccも少しだけいます。
250cc以上は「SH300i」というイタリア製スクーターと「Rebel 300」の2車種のみ(2018年5月現在)。大型バイクは売られていないようです。
ベトナムにおけるバイクは基本的に足としての存在で、趣味性は低いということなのでしょう。ただ「MSX」という海外向け「GROM」がラインナップに入ってます。
この車種は足として使えるだけでなく操作する楽しみも味わえそう。趣味としてのバイクへの取っ掛かりになるかもしれません。
途上国の中には小排気量スーパースポーツが売られている国もあります。経済が更に発展し余裕ができれば趣味としてバイクに乗る人も増えるのでしょう。
写真いろいろ
最後に、ベトナムで撮影したバイク関係の写真をまとめてご紹介します。
最後までご覧いただきありがとうございました。