ヤフオクで手に入れたボロボロなVTR250(W、初期型)のレストア記録6回目。
フロントフォークのシールが駄目になってオイルが漏れていたので、分解して部品交換とフォークオイルの入れ替えを行いました。
オーバーホールは初めてなのでかなり苦戦。組み間違えたりして半日以上かかりました。
(※あくまで素人の作業記録です。情報の正確性は保証いたしかねます。作業される場合は自己責任でお願いいたします。)
車体からフロントフォークを外す
フロントフォークの外し方を手順に沿って紹介します。
フロントブレーキキャリパーを外す
ブレーキキャリパーが付いていると邪魔になるので外します。
ボルト2本(12mm)で止まっています。
結構固かった。足回りのボルトは走行中に外れると危険なのでガチガチに締められているのだと思います。
外したキャリパーはレジ袋に入れハンドルに引っ掛けておきました。紐などで吊り下げる方法もあります。
(ボロボロの中古車ですが新しいメッシュホースが付いていました。ちょっと嬉しい。)
メーターケーブルを外す
メーターケーブルはプラスネジで止まっています。
外すとパーツが割れました。やっぱり古い車両はゴムと樹脂パーツが劣化してますね。
アクスルシャフト外しの準備
前輪を浮かせる前に、アクスルシャフトが外しやすいよう準備します。(浮かせてからでは不安定で力を入れるのが難しい。)
まずは左フロントフォークのボルトを外します。
その後アクスルシャフトを固定しているナットを緩めておきます。まだ外しません。
めちゃくちゃ固く締まっているので力が要ります。
サイズはナット側が19mm、反対側のシャフトの頭が17mmでした。
その他ボルト類を緩める
車輪が地面についている状態で緩めるボルトが他にもあります。筆者は順番を間違って先にジャッキアップしてしまい、やり直すことになりました。
フォーク上部のボルト
フォーク上部のボルトは、フォークを車体から外してからだと緩めるのが困難です。忘れず緩めておきます。
なお、緩めるだけ。まだ外してはいけません、オイルが入っています。
固くて緩まない時はフォークを固定しているボルトを先に軽く緩めます。
それにしてもトップブリッジに謎の銀色塗料がベッタリ塗られていて汚い。くすみを隠したかったのか知りませんが、アルミにそのまま塗っても定着しないのでペリペリはがれて残念な見た目に。綺麗に落としたいです。
フォークを止めているボルト(上下)
フロントフォークはリング状の部品で固定されています。その輪を締めているボルトがあるので軽く緩めておきます。
ここもフロントを上げてからでは緩めにくいです。
きつく締まっているのを、軽く回せるくらいまで緩めればいいと思います。緩めすぎるとフォークが動いてしまうので注意。
フロントフェンダーのボルト
後からでも緩められますが先にやっておくと楽。
ボルトが奥まっているのでメガネレンチは入りません。ソケットレンチを使いました。
ジャッキアップ
VTR250にはセンタースタンドがありません。前輪を浮かせるためにはジャッキアップするかメンテナンススタンドを使用しなければいけません。
スタンドは持っていないのでジャッキアップしますが、VTR250は下部にフレームがない構造。エンジンの下に木の板などを当ててジャッキアップするしかないようです。
ネットを見るとエンジンで上げている人は多いですが、本当にこの方法で壊れないか心配……。エンジンの下にあるツメが曲がなければいいですが。
とはいえ他にやりようがないので、ジャッキアップ用の木製台を作ってみました(雑な仕上がり)。
フロアジャッキから落ちないように枠を作ってあります。お皿の所にパコッとはまる仕様。
サイドスタンドの下に木片を置いて傾きを減らします。こうしたほうが上げやすいし安定します。ワンバイ材(1×4)が1枚でOKでした。
上がりました。(順番を間違えて先にジャッキアップした際の写真なのでボルト等が付いたまま)
※2020年7月追記:
改めて考えてみるとエンジン下部の円柱状の部分がジャッキアップポイントなのかもしれません。そう思ったのは、車(四輪)に円柱状のジャッキアップポイントがあったから。
板を当てて上げてみました。
ただ、100%壊れないという保証はないですね。見た目が似ているだけで全く関係がない可能性も。そもそもメーカーがエンジンで上げることを想定しているのか不明…。メンテナンススタンドがあれば、それを使うのが一番安全です。
ホイールを外す
ナットを外してアクスルシャフトを抜いて、ホイールを外します。
フロントフェンダーを外す
今回はフォークに付けたままにしておきましたが、本来はこの段階で外したほうが楽だと思います。
ボルトを外す
さっき少し緩めた固定用ボルトをさらに緩めるとフォークが下に抜けます。
フォークには重さがあり勢いよく下に抜けるので落とさないよう掴みながら外しました。
フォークを固定していた部分は錆びてました。サンドペーパーと転換剤で処理します。
フロントフォークの分解
フォークが外せたのでオーバーホール作業に入ります。
分解するとオイルが出て汚れるので床にダンボールを敷いておきました。
底のボルトを少し緩める
フロントフォークの底にソケットボルト(六角穴付きボルト)があります。
これを六角レンチなどで緩めるのですが、かなり固いので手で緩めるのは大変。
フォーク本体をガッチリ固定できれば緩められそうですが、今回は電動工具(インパクト)を使いました。
少し緩めるだけ。まだ外しません。
上部のボルトを外しオイル抜き
車体から外す前に緩めておいたフォーク上部のボルトを外します。オイルを抜くので受け皿や廃油処理箱などを準備。
(↑アストロプロダクツのオイルパン7L用は安かったです。店頭で税込み418円。AP オイルパン 7L)
キャップを外すとドロドロと流れ出すオイル。出なくなるまで抜きます。
生臭いです。魚が腐ったような嫌なニオイがします。
部品が出てくる
オイルを抜いてから筒を傾けると中に入っていた部品が出てきます。
スプリングの上下は覚えておきましょう。巻きがきつい側と緩い側があります。
この車両の場合一度分解されていたらしく、左右のフォークでスプリングの向きが違ったのでどっちが正しいのか分からず困りました。
パーツリストを見る限りでは巻きのきついほうが下のようにも見えるが……。
(組み直す際には左右ともきつい方を下にしました。)
底のボルトを外す
先程緩めた底のボルトを外すと、さらに部品が出てきます。
シールを外す
ダストシールとオイルシールを外し、インナーチューブとアウターチューブを分離。
まずダストシールをマイナスドライバー等でずらして外します。
次にオイルシールストッパーリングを外します。
勢い余ってインナーチューブをガリッとやってしまうと嫌なので、ドライバーではなく竹の割り箸を使用。
外れました。
最後に力技でオイルシールを外します。インナーチューブとアウターチューブを掴んで引っ張ります。
何度もコンコンコンコンと押して引いてを繰り返したら外れました。
サビ落とし
インナーチューブにサビが出ているので落とします。1000番の耐水ペーパーを使用。
オイルシールと触れる部分は左右に磨いたほうが良いらしいです。
上下に磨くとシールを傷つける場合があるとか。
ピカピカになりました。
他の部品もパーツクリーナーなどで洗浄します。
フロントフォークの組み立て
ここから組み立てです。
純正部品
フロントフォークOHに必要な純正部品について。
(※VTR250初期型、Wの場合です。他の年式の場合、必要な部品が異なります。)
何が必要か分からなかったのでパーツリストから手当り次第注文しましたが、使い回せるものもありました。
ただ最低でも次の部品は交換が必要になると思います。
(23)Oリング 33.2×2.4 :91356-KF0-003
(16)シールセット、フロントフォーク:51490-MN8-305
(14)リング、オイルシールストッパー:51447-KA4-711
(21)ワッシャー、スペシャル 8mm :90544-283-000
Oリングやドレンのワッシャーは一度外したら交換推奨ですし、漏れているシール周りも変えておきたいです。
それらに加え摩耗している部品があれば交換します。
(7)ブッシュ、ガイド :51414-KCR-003
(8)ブッシュ、スライダー:51415-KCR-003
(12)リング、ピストン :51437-KV3-701
などです。
インナーチューブ復元
順番を守って部品を組み直します。
バラす前の写真がこれ↓(番号はパーツリストに対応)
(11番のオイルロックピースは中にはまったままでした。外している場合は戻します。)
次に、短いスプリング(9)とパイプ(13)をインナーチューブの中に入れます。
底のボルトを締める
インナーチューブをアウターチューブにはめ込み、底のソケットボルトを締めるのですが、そのままでは空転します。
棒状の何かでインナーチューブ内のパイプ(13)を抑える必要があります。
今回は仮組みしてフォーク上部のキャップを取り付けてから締めましたが、手間がかかるので適当な工具を用意したほうが良いと思います。
底のボルトにはネジロック剤を塗っておきます。
オイルシールの挿入
オイルシールをインナーチューブにはめます。
「オイルシールはメーカー名表示面を上面にして組込むこと」だそうです。シールにはグリスが塗られてましたがシリコングリスを追加。
シールが傷まないようチューブにラップを巻くみたい。
下まで入ったらVU40のビニルパイプで打ち込んでいきます。
パイプは適当な長さにカットして使用。専用工具より安いです。これが使えることを発見した人は偉い。
パイプの上からハンマーで叩いて打ち込みます。クリップ(リング)が付く溝がしっかり見える所まで打ち込んだらOK。
クリップ(リング)をはめ込んで固定。
その上にダストシールを付けたら終了。
フォークオイルを注入
ネット情報によると、VTR初期型(W)のフォークオイル量は460mLらしい。
少し多めに入れて上から抜き、油面を合わせるのが正しいやり方のようです。面倒ですがその方法でやります。
油面調整の工具は自作。ゴム板と耐油ホース、金属管、注射器を使いました。
サスペンションオイルはヤマハ製G-10。ホンダ指定のものより若干やわらかいですが、安いのでこれにしました。
なお、2種類の硬さのオイルを混ぜ合わせて純正同等の粘度を作る人もいるようです。
新品のフォークオイルは赤いです。
何回かに分け少しずつ注入します。入れる度にフォークを手で伸縮させます。
油面調整
VTR250(W)の油面は105mmらしいです。これもネット情報なので裏付けはありません。サービスマニュアルがあれば正確な値が分かりますが1万円以上するので流石に買えない。
また、油面の値というのは、インナーチューブを一番下まで縮めた時の、フォークのてっぺんからオイルまでの距離らしいです。
油面調整工具はフォークの上に乗っけるので、飛び出ている筒の長さが油面の指定値と同じになります。
多めに入っているとその分が抜ける仕組み。抜けなくなったら油面ピッタリ。
実際に抜きます。
いっぱい抜けました。ちょっと入れすぎだったみたい。
スプリング等を入れてフタをする
油面を合わせたら残っている部品をインナーチューブに入れます。
長いスプリング、ワッシャー、カラーの順で最後にフタを装着、仮締め。
車体に装着してフタのボルトをしっかり締めたら完成です。
おわりに
素人にとっては結構ハードな整備でした。
とはいえ、プロに頼むと工賃が高めなので自分で完成させられてよかったです。走行中に漏れてこないか心配ではありますが……。
そもそもエンジンが掛からないので走行テストが出来ません。要修理の箇所がたくさん残っています。キャブオーバーホールも途中。
これを書いているのは年末ですが、春には走れる状態にしたいです。