中華原二バイクYB125SPに油温計を取り付けた記録です。リレー付きのバッ直電源を作り、そこから油温モニター用の電気を取りました。
油温を表示するだけのモニターに必要な電力など微々たるもの。わざわざバッ直なんてせず既存の配線から取っても十分です。
しかし後々USB電源やグリップヒーターなどを取り付けるかもしれないので、この機会に容量の大きい電源を作っておくことにしました。
※おことわり:電装系の改造は失敗すると電装品の故障や火災を招きます。自信の無い場合は無理をせず、詳しい方の指導を受けることをお勧め致します。当記事の内容によっていかなる損害が生じましても当サイトは一切の責任を負いかねます。ご了承下さい。
油温計を付ける理由
ボアアップ等のエンジンチューニングをするとか、サーキットで走るとかではないのに何故油温計を付けようと思ったのか。それは季節や走り方による油温の違いを知りたかったから。
夏の暑い日に渋滞に巻き込まれ、通常よりアイドリング回転数が高くなったことがある。
高温によりエンジンオイルの粘度が低下し、エンジンの抵抗が小さくなったことが原因のように思うが、その時オイルが何度になっているのか気になっていた。
また、もし夏場の油温が常時高いままだったとしたら、夏は少し硬めのオイルを入れたほうが良いという説の説得力が増す。オイル選びの判断材料になりそうだ。一年を通して指定粘度の10w-30を使って大丈夫なのか気になっていた。
YB125SPのエンジンは空冷なので走行風が当たらないと冷却できない。暑い日に渋滞にはまるとオーバヒートの恐れもある。油温計があれば、まだ走れるかエンジンを止めて休憩すべきかの判断材料にもなる。
逆に寒い時期に硬めのオイルを入れるとエンジンが全然回らなくなる。しばらく走ってエンジンが暖まるまで吹け上がりがとても悪い。そんな時の油温にも興味がある。
バッ直電源作成
油温計を取り付ける前にまずバッ直電源を作る。それにはバッテリー上がりを防ぐためのリレーが必要になる。
バッ直のメリット
バッ直とはバッテリーに直接接続して電気を取り出すこと。メリットは消費電力の大きい電装品を取り付けても大丈夫な点。
既存の配線から分岐させて電源を取ると容量オーバーでヒューズが飛ぶ恐れがあるが、バッ直ならその心配がない。
また、後付けした電装品が純正配線の電装品に悪影響を及ぼすことを防止できる。
リレーとは
バッ直のメリットを挙げたが、ただバッテリーに直接つなぐだけだと電気が常に流れっぱなしになってバッテリーが上がってしまう。
そうならないよう、キーオフ時には電気が流れないようにしたい。そのためにはリレーが必要になる。
今回使用したのはエーモン製の線が4本出ているやつ。
リレーの仕組みがパッケージ裏に書いてあったので引用する。
青線を既存のアクセサリー電源(ACC電源:キーオンで電気が流れる※)に繋ぎ、黒線をボディアースに繋ぐ。上の回路(青線から黒線)に電気が流れている時だけ、下の回路(赤線から黄線)に電気が流れる仕掛け。
バッ直するのは下の回路。図の赤線にバッテリーのプラスを繋ぐ。そのままでは電気が流れないのでバッテリーが上がることはない。キーオンで上の回路に電気が流れた時だけ、バッ直回路にも電気が流れる。
※YB125SPのキーシリンダーにはONとOFF(とLOCK)しか無いが、四輪にはONと別にACCがある場合も。厳密にはACCの所で通電するのがACC電源。キーオンで通電するのはイグニッション(IG)電源。
リレー作動用ACC電源探し
リレー本体は左サイドカバーを開け、バッテリーの上にある車載工具が入っていたスペースに設置する。
というわけでリレー作動用ACC電源はそこから近い位置で取りたい。どれがキーオンで通電する線なのか検電テスターで調べてみる。
バッテリーのマイナスをクリップで挟み、確認したい配線の端子部に針を当てる。キーオンで光り、キーオフで光らなかったらOK。ずっと光っていたら常時電源だからリレーと繋げても無意味。
謎ギボシ
ウィンカーリレー付近の透明カバーで封じられているメスギボシがなんとも怪しい。
もし使えるなら簡単でいいなと思い、封を切りテスターの針を当てたものの一切光らなかった。電気は来ていないようだ。
クリップでギボシを挟み針をバッテリーのプラスに当てると光ったのでマイナス側(ボディアース)に繋がっている線みたい。何かの名残なのだろうか。
短すぎる線
ウィンカーリレーに繋がっている線(下の写真参照)はACCだと確認できたが、長さが短い。切断してギボシを圧着するのは難しそうだ。
エレクトロタップを使えば分岐させることは可能だが、接触不良の恐れがあるし防水ではないので使いたくない。
ACC電源は別の所で探すことにした。
リレー用電源をタンク下から
リレー作動用電源は、燃料タンクを外した所にある茶線に割り込ませて取ることにした。茶線同士はギボシで接続されているので外してY型接続端子など差し込むだけで済む。簡単だ。
次の図のように繋ぐ。
リレーの青線は長さが足りなかったので延長した。
リレーを設置する車載工具スペースの奥には穴がある。この穴を通してタンク下の茶線に繋ぐ。加工がいらないし、サイドカバーを閉める時も邪魔にならない。
補足:タンクの外し方
本題から逸れますが、タンクの外し方を簡単に書いておく。詳細は検索して頂きたい。なお、燃料満タン時のタンクは非常に重くて危険なので減らしてから作業したほうが良い。
落としたら怪我をする恐れがあるしタンクが凹むと悲しい。
①燃料コックをOFFにして、コックからキャブへ繋がっているホースを外す(OFFにしないとガソリンが漏れて危険)。
②タンクからキャニスター(前の方にある黒い箱みたいなやつ)へ繋がっているホースを抜く。
③シートを外した所にあるボルトを緩め外す。
④タンクはそのまま上に持ち上げても外れない。バイク後方へ引っ張ると外れる。裏側に燃料計のコネクターがあるので抜く。
ヒューズ取り付け
リレー作動用電源は取れた。次にバッテリーから電装品用電源を取る。
バッテリーのプラスとリレーの赤線を繋げばいいのだが、間にヒューズをかませる。過電流から電装品や回路を保護するために必要なのだ。
初めは上の写真のようなものを作ったけど失敗だった。
この青い平型ヒューズホルダーは、両側に線を差し込みプライヤーで圧着するタイプだが接触不良で電気が流れなかった。
エーモン 平型ヒューズホルダー DC12V・120W/DC24V・240W 平型ヒューズ(10A)付 E332
仕方ないので開けてみると線の被覆がしっかり破れておらず、ホルダーの金属部分が導線まで届いていなかった。うーん、これでは電気が流れないわけだ。
簡単に装着できるが上手くやらないと接触不良を起こす点は、エレクトロタップに似ていると思った。再利用できそうにないので正攻法でやり直す。
使ったのは管ヒューズ用のホルダー。ヒューズは別売り、20A以下のものに対応。
バッテリーのプラスに繋ぐのはクワ型端子より丸形端子が良いらしいので、そこもやり直した。
リレーと配線の接続
出来上がったこいつをリレーの赤線とバッテリーのプラスに繋ぐ。バッテリー側の丸型端子は既存の端子と一緒にネジ止め。下は完成後の写真。黒つぶれしているがリレーが入っている。
リレーに繋ぐ線は次の図の通り。
黄色線の先で分岐させ油温計の電源を取る。
油温計の取り付け
電源が用意できたので油温計を取り付ける。メーターはKOSOの赤色表示のやつ。
これはあくまで温度を表示するための装置。油温測定に使うのは、同じくKOSOの温度センサー(M12×P1.5 品番:KS-MO-TS1215)。ドレンボルトを外し代わりにこれを取り付ける。
YB125SPの場合このサイズが使えるが車種によってドレンボルトの大きさは違う。センサーには複数サイズが用意されているので合うものを選ぶ。Amazonに丁度のサイズが無かったのでモノタロウで購入した。
メーターの線に細工
メーター電源用の線(赤と黒)にはギボシ端子が付いていない。圧着したいのだが線が細すぎて不可能。仕方ないので圧着接続端子を使い太めのコード(0.5sq以上)と繋ぎ、そこにギボシを付ける。
エーモン 圧着接続端子 DC12V140W以下/DC24V280W以下 5セット 1168
この端子なら0.25sqの細い線まで対応している。線を差し込み圧着、熱収縮チューブを被せ絶縁。チューブはドライヤー程度の熱でも縮んでくれた。
メーターを固定
タナックスのマルチマウントでハンドルバーに固定する予定だった。しかしこいつが曲者。グリップなどを外しバーだけの状態にしないと取り付けできないようだ。
タナックス(TANAX) MOTO FIZZ マルチマウントA φ22.2mm(ブラック) MF-4676
横着して輪の口を広げ横から取り付けようとしたら歪んでしまって使えなくなった。小さい割に高かったので残念。
とりあえずホームセンターのステーと強力両面テープで固定することにした。使いやすいマウントが見つかるまでの間に合わせ。
強力ベータテープは思いの外しっかりくっついてくれた。他の所でも便利に使えそう。
電源との接続
前述の通り油温のメーターから出ている線はとても細い。ほとんど電気を食わない証拠だ。ヘッドライト付近の既存配線から電源を取っても電力的な問題はなさそう。
でもサイドカバー内のバッ直電源から引っ張ってくる(バッ直電源を作っていなかったら近くから取っていた)。コードはコルゲート管や熱収縮チューブなどで保護してタンクの下側を通す。
結束バンドを使い既存の線などに固定。なお、線に余裕(遊び)をもたせておかないと、引っかかってハンドルが切れなくなったり端子が抜けたりするおそれがある。ギチギチに付けてはいけない。
バッ直電源にこだわらないのなら、ハンドルに近い線から電源を取るのが無難だと思う。遠くなると配線の取り回しが面倒。
温度センサー取り付け
温度センサーはドレンボルトを外した所に取り付けるので、エンジンオイル交換が必要になってくる。
この前はホンダのウルトラG1(鉱物油)を使ったが、今回はG2(部分化学合成油)にする。ちょっとだけ上等品。粘度は指定通り10w-30。
Honda(ホンダ) 2輪用エンジンオイル ウルトラ G2 SL 10W-30 4サイクル用 1L 08233-99971 [HTRC3]
今までドレンボルトをトルクレンチで締めていたが、温度センサーは裏から線が出ているのでソケットがはまらない。
そこでクロウフットレンチなるものを買った。17mm用。
それにしても、Amazonには「クロウ」と「クロー」それぞれの表記で出品がある。表記ぶれで分かりにくい。
トルクレンチに接続。
ただこれは、トルクレンチの目盛り通りのトルクで締められるわけではない。中心点(支点)の位置が変わるのでトルク換算の計算をする必要がある。計算式をKTCのサイトより引用する。
必要なトルク値は20Nm。換算した入力トルクで締める。
トルクが感覚で分かる人はメガネレンチやスパナで締めれば良いので安上がり。筆者は締めすぎでネジ山を壊したり、締め不足で漏れたりするのが心配なのでトルクレンチを使った。
センサーとモニターの接続
ワイヤーハーネスで温度センサーとモニターを接続したら出来上がり。2mのハーネスを買ったが、モニター付属の短いやつで十分長さが足りたので使わずじまい。
この線もハンドルの支障にならないよう取り回すのが大変だった。念のため、接続部は防水熱収縮チューブで覆い、全体をコルゲートで保護した。
無線の油温計があれば便利だと思う、難しいだろうけど。線が多いとごちゃごちゃしてスッキリしない。
ひとまず取り付け完了。実際の油温についてはそのうち書く予定です。