古くなったタイヤをホイール(軽自動車用14インチ鉄)から外し、処分するまでの話です。ビードがホイールに固着していて落とすのに苦労しました。
この記事では、タイヤを自分で外すことにした経緯、ジャッキでビードを落とす方法、タイヤをホイールから外す手順などを説明しています。
タイヤ外しの経緯
まず、自分で古いタイヤを外すことになった経緯を書きます。
お店で新しいタイヤを購入し、ホイールはそのままでタイヤだけを交換してもらう「タイヤ組み換え」の場合、古いタイヤはお店に手数料を払って処分してもらうのが一般的です。
よって自分で外して処理場に持っていく必要はありません。
しかし、今回は新しいタイヤをホイールとセットで購入したため、古いタイヤとホイールがそのまま手元に残ることになりました。
もちろん古いタイヤとホイールをお店に持っていけば、タイヤを外して処分してもらうことも可能ですが、処分手数料のほかタイヤを外す工賃が掛かります。
そこで小銭を節約するため自分で外して処分することにしたという流れです。
ただ、古いタイヤを外すのは想定していたよりも大変だったので、多少お金を払ってもお店に任せたほうが時間の節約にはなったと思います。
外さず処分も可能
古いタイヤとホイールの両方が不要なら、タイヤを外さず丸ごと持ち込んで処分してもらうことも可能です。これなら工賃は不要で処分手数料を払うだけでOK。
ただ、筆者は鉄ホイールを再利用したかったので、タイヤだけを処分することにしたわけです。
ちなみにタイヤはお金を払わないと処分できませんが、ホイール単体だと金属として買い取ってもらうことも可能です。
アルミと違い、鉄ホイールは基本的に中古カー用品店では買い取ってくれないので、リサイクル業者(スクラップ業者)に持っていくことになります。
鉄は安い金属なので、4本売っても大した金額にはなりませんけどね。その時の相場や業者により違いがありますが、2024年4月末頃の買取価格は50円/kgくらいでした。
軽の鉄ホイール1本が6kgと仮定すると300円。4本持ち込んでも1500円くらいです。
一方、アルミは鉄より高価で300円/kgくらいなので、4本売ればそこそこいいお値段になりますね。
なお、業者によっては量が少ないと無料引き取りになる場合もあるので注意。筆者は以前、家にある不要な鉄製品を10kgくらい集めて持っていきましたが、買い取ってもらえませんでした。
タイヤ外し作業(ビード落としについて)
さて、ここからはタイヤ外し作業の手順について書きます。
ホイールに取り付けられたタイヤはそう簡単には外れません。手で押したり引いたりしても無駄です。走行中にズレたり外れたりしたら危険なので、当たり前ではありますが……。
タイヤを外すためには、第一段階として「ビード」という部分をホイールから落とす(剥がす)必要があります。
ビードというのはタイヤの内側の円周部にある補強された部分で、ホイールのリムとタイヤをしっかり固定する役割があります。
下の写真のオレンジ色の部分がビードです(※画像編集で着色。実物には色が付いていません)
この部分は一見するとただのゴムのようですが、内側にはビードワイヤーという鋼線が束ねられていて、かなりガッチリしています。
このビードがホイールと強力に密着しているおかげで、ちょっとやそっとの力ではタイヤが外れません。
では、どのようにビードを落とす(外す)のか。道具や方法は色々ありますが、基本的には強い力でビード付近を押し下げることで落とします。
タイヤ専門店や整備工場などでは電動タイヤチェンジャーが使われていますし、個人向けにはテコの原理を用いた手動ビードブレーカーが販売されています。
手動ビードブレーカーは3000円台からありますが、格安製品はパイプが細く耐久性が期待できないようです。また、バイク専用の注意書きがあるものも多いです。
車のタイヤに対応したしっかりしたものを買おうと思うとそれなりの出費になりそう。
あと、タイヤレバーという細長い金属の棒を使ってビード落とすオーソドックスな方法もありますが、体力とテクニックが必要です。
ということで、今回は比較的安価で体力やテクニックもいらない、荷締めベルトと車載パンタジャッキを使う方法でやってみました。これはタイヤを手組みする人の間では有名なやり方のようです。
なお、ジャッキを使う方法に関してはネット上で様々なパターンが公開されています。溝に挟むとか、車体に挟むとか……。
荷締めベルト&ジャッキで作業開始
では作業を始めましょう。ビードを落とす前にタイヤの空気を抜いておきます。エアバルブのキャップを外し中心の出っ張りを押すと抜けます。
ムシ外しを使う場合も、ある程度空気を抜いてからのほうが安全だと思います。満タンの状態だとムシ(バルブコア)がすごい勢いで飛んでくるので怖い……。
空気を抜いたら、荷締めベルトをホイールの穴に通し、パンタジャッキをタイヤの上に固定します。文章だと分かりづらいので次の写真と図をご覧ください。
真上から見るとこんな感じ↓
↓ベルトの通し方の図です。点線部分はタイヤの裏側(下)を通っています。
この状態でジャッキを上げていく(伸ばしていく)と、タイヤが押し下げられていき、ビードを落とすことができるという仕組みです。
これをタイヤの4か所でやると全体のビードを落とすことができました。ジャッキを使った後は、タイヤを上から足で踏んでしっかり落とします。
なお、簡単に落ちたのは1本目の表側だけでした。後で分かったことですが、ここだけ固着がマシだったみたいです。このあと苦戦することになります。
ネットの情報によれば、比較的新しめのタイヤの場合、1、2か所で落とすことも可能みたいですね。
ビード固着に苦しむ
1本目の裏側は表のようにはいきませんでした。タイヤが潰れ、ジャッキが床近くまで下がった状態になっても落ちません。相当固着しています。
何か所かやっているとついに荷締めベルトが切れてしまいました。
別のベルトを用意し作業を繰り返した結果、8か所くらい押したところでやっと落ちてくれました。
別の方法を探す
このあとも苦戦が続きます。2本目のベルトも切れたのでこの方法は諦め、別の方法で落とすことにしました。
ネットを検索すると多種多様なビード落としのアイデアが見つかります。今回は主に次の2本の動画を参考にさせていただきました。
荷締めベルトの代わりに頑丈な枠を使ってパンタジャッキを抑え込むという方法です。
枠を作る
というわけで、枠を作ります。購入した部品は以下の通り。
- 寸切荒先(鉄/ユニクロ) M10✕550 2本(※全体がネジになっている棒)
- 六角ナット M10
- 全ネジ M10✕150(※ジャッキ固定用)
- 丸ワッシャ M10✕45mm 4枚
- 丸ワッシャ M10✕25mm 1枚
ワッシャはホームセンターで、残りはネット通販(モノタロウ)で購入しました。木材は新たに購入せず、家に保管していたものを利用します。
保護メガネをかけて12mmの木工用ドリルで穴を開けます。穴に通す棒はM10ですが、穴は少し余裕があったほうがいいらしいので12mmにしました。
穴を開け部品を取り付けて完成したのが次の写真です。
↓ジャッキ固定の「全ネジ M10✕150」はちょっと長すぎましたね。ナットを使って長さを調整しました。
↓ジャッキの側はナットのみで固定しました。
できればもう1枚、小さいワッシャー(M10✕25mm)を用意したほうがよかったですね。ただ、この部分にはそれほど強い力がかかるわけではないので、特に問題はないでしょう。
↓ネジが切ってある鉄の棒(寸切)と木材がつながる部分には強い力が掛かります。木にめり込まないよう大きいサイズのワッシャ(丸座金)を使用。
また、棒が床に接触しないよう、2×4(ツーバイフォー)の木材を、メインの木材の下に木ネジで固定してあります。
棒2本の上下、計4か所にワッシャとナットを取り付けました。
枠とジャッキで作業開始
完成したので早速使ってみます。高さ調整とホイールの傷防止のため、枠がない方にも木を敷いています。
問題なくタイヤを押し下げることができました。枠を使うと荷締めベルトを通す手間がないので楽ですね。
あと、初期状態ではジャッキのネジが回しにくかったので木材と固定する位置を少し調整しました。タイヤの他の場所も押し下げていきます。
↓当て木をしてみました。この枠とジャッキを使えばタイヤをペチャンコにするくらい力を加えることも可能です。
枠を補強
少しずつ作業を進めていったのですが、またも固着に行く手を阻まれます。タイヤが潰れるくらい押しても一向に落ちてくれません。
さらにタイヤの反発に負けて鉄の棒が曲がり始めました。このままでは折れてしまいそうなので枠を補強することにします。
↓2×4木材を縦に2本追加。これで棒の曲がりを防いでくれます。
普通のタイヤはここまで補強しなくても落とせるはずですが……。(次のページに続きます)