YB125SPのフロントスプロケット(ドライブスプロケット)を14Tから15Tに交換しました。結果としては大成功。
1T上げただけなのですが、交換前と比べ驚くほど乗り心地が向上しました。
まずは交換後のインプレです。
スプロケ交換手順からご覧になりたい方はこちら(クリックで下に飛びます)
バイクのイメージが一変
スプロケを交換した結果、「エンジン音がうるさく、頻繁なシフトチェンジを強いられて疲れるバイク」というネガティブな印象が一変しました。
もっと早く交換しておけばよかったと後悔するほどです。
低速から高速までの全速度域で走りが軽快になり、まるで別のバイクに乗っているような感じ。
運転の楽さが今までとは全然違います。これならロングツーリングに行っても大丈夫そうです。
純正では使い所の少ない1速・2速
スプロケ交換前、1速・2速は発進時に「一瞬」使うだけでした。
すぐ3速以上に上げないとスムーズに走らないからです。
低いギアでは回転数が急上昇し「ギャーッ」とエンジンが唸るものの、強い抵抗のようなものを感じ、車体がなかなか前に進みません。
変速機付き自転車を例に挙げますが、一番低いギアでペダルを必死に漕いでも全然前に進まないのと同じ理屈です。
発進直後の慌ただしいシフトアップが結構な負担で、長く乗ると疲れる原因にもなっていました。
スムーズな発進・加速が可能に
2速発進したくなるくらい使い所のない1速でしたが、スプロケ交換後は低速走行で問題なく使えるようになりました。
「すぐ回転数が上がるのに思ったほど前に進まない」という感じはもうありません。
1速→2速→3速とそれぞれのギアを以前より長めに使いながらスムーズにシフトアップできるようになり、運転していて気持ちが良いです。
加速もさほど悪くならない
一般的にはフロントの丁数を増やしハイギアードにすると加速が悪くなると言われます。
ですが体感では出足が鈍くなったようには感じられません。
半クラが極端に長くなるようなこともなかったです。
「2人乗り」や「重い荷物を積んでの坂道発進」など一部の状況を除いて、発進にはほぼ影響が出ないと思われます。
今まで(純正スプロケ)が結構ローギアードだったため、ハイギア寄りすることでせわしないシフトアップから開放されました。
体感では加速が向上?
各ギアを長く使えるようになったので、逆に加速が良くなったように感じます。
ギアチェンジ時にはクラッチが切れてパワー伝達が途絶えます。もしかすると、ある速度に到達するまでのチェンジ回数が少ないほうが加速には良いのかもしれません。(なんとなくそんな気がするだけで根拠はないです。)
当然ながら「パワーバンド上限まで回してからシフトアップ」というレースみたいな走らせ方をするならローギアードのほうが加速が良いでしょう。
あんまり回さない人の場合はどうなんでしょうね。案外変わらないのかも…?
加速が欲しければシフトダウン
加速が欲しいときにはシフトダウンして回せばOK。交換前より低いギアで引っ張ればOKです。
1速より下げることはできないので発進直後には影響が出ますが、走り出してしまえば問題無いと思います。
ただ、1速でレッドゾーン直前まで回して乗ってる人は、加速が落ちて不満かもしれませんね…。
低速走行がしやすくなった
特に変化が感じられたのが低速での運転しやすさ。
交換前(標準のフロント14Tの時)は、生活道路など「制限速度30km/h以下の道」が非常に走りにくかった。
ゆっくり走る時でさえ2速では回転数が上がりすぎてギクシャク。エンジン音も結構うるさく感じます。
かと言って3速に上げると、交差点などで一時停止するたびにシフトダウン(3→2→1)、シフトアップ(1→2→3)を繰り返さなければならず非常に不便でした。
何度も何度もシフトチェンジするのは疲れます。
15Tだと1速・2速でも滑らか走行
フロントのスプロケを15Tに変えると1速・2速でも滑らかに走ります。また、回転数が低めになるので静かです。
30km/hまでなら2速以下で十分カバーできます。
道が混んでいる時のノロノロ走行や、発進後にすぐ曲がるような場面での操作もしやすくなりました。
最高速寄りのギア比にして低速が走りやすくなるのは面白いですね。
純正が2人乗りや重量物の積載を前提とした設計になっているからかもしれません。(リアサスが固いのも同じ理由だと思われます。そちらも早目に取り替えたい。)
5速巡航時の振動や騒音が減り快適に
YB125SPのギアは5速まであります。
スプロケ交換前は5速に上げても回転数が割と高く、音と振動が気になるため、気持ちよく「流す」という感じではありませんでした。
しかし、フロント15Tに交換後は、5速4500rpm程度で60km/h巡航ができるようになりました。
この回転数ならビリビリという不快な振動も少なく、エンジンも静かです。
「流す」という感覚で走れるようになったのは大きな成果です。回転数が下がるので燃費向上にもつながります。
トップギアでの再加速に難あり
ただし、このギア比にすると5速での再加速に難があります。一度回転数が落ちるとスロットルをひねってもなかなか速度が上がりません。
前に遅めの車がいたりカーブがあったりする時には5速に上げず4速のままで走ったほうが楽です。
4速ならそこそこ力強く加速してくれます。5速は巡航専用にするのが良さそう。
ちなみに4速で60km/hを出した時の回転数は約5500rpm。ハンドルに少々ビリビリとした振動があります。
最大トルク発生回転数の6000rpmに近いからか、5速で流している時よりも力強さを感じます。
これ以上のハイギア化はメリット少ない?
YB125SPのエンジンは4000rpmあたりを下回るとガクッとパワーが落ちる(体感)ので、これ以上ハイギアードにするのはマズい気がします。
5速60km/h走行で4000回転を切ることになってしまうと流石に扱いにくい気が…。
燃費やエンジン音の面ではメリットがあると思いますが、ちょっとした上り坂で減速しそうです。1速の坂道発進もやりにくくなりそう。
また、高速に乗れない原付二種なので、さらにハイギアードにして100km/h走行の快適性を求めても意味はありません。60km/hで快適に走ることができれば十分です。
そう考えると今回のフロント15Tくらいがちょうどいいのかもしれません。あとはリアスプロケで微調整するくらいでしょうか。
交換手順について
ここからは実際にスプロケットを交換した記録です。
※おことわり
メンテナンス本等で調べてから作業しましたが、筆者は素人ですので間違った方法が含まれているかもしれません。この記事を見て作業される場合は自己責任でお願いします。
スプロケカバーを外す
まずはフロントスプロケットを覆っているカバーを外します。
ボルト二本で固定されてます。
エンジンは金属ですがこのカバーは金属っぽく塗装されたプラスチック製。裏は飛び散ったグリスで汚いです。
カバーを外すとこんな感じ。
スプロケホルダーを外す
上の写真の矢印の先がスプロケホルダー。こいつがスプロケを抑えて外れないようにしています。
スプロケホルダーは2本のボルトで固定されていて、このボルトを外すには六角棒レンチが必要です。
結構固いし空回りするとやりにくいので、
1速(N以外)に入れ、
サイドスタンドで駐車させ
後輪を接地させてから緩めました。
チェーンを緩める
チェーンが張ったままだとスプロケを外したり取り付けたりするのが困難なので緩めます。
基本的にチェーン張り調整時の手順と同じです。
1:リアアクスルナットを緩める
2:トルクロッドの割りピンが付いているナットを緩める。(割りピンは安全のため非常に大切な部品。組み直す際はナットを締めた後で必ず取り付ける。新品交換推奨。)
3:ナットを緩め、張り調整のボルトを緩める。(今回はだるんだるんになるまで緩める。)
余談(トルクロッドについて)
メンテナンス本や解説サイトには、トルクロッドのナットについて記述が無い場合も。
最近はトルクロッドが付かない構造のバイクが多いらしく、解説を省略しているようです。
(付いている車種からトルクロッドを外してはいけません。)
知らなかったのでうまく張り調整できず困ってしまいました…。が、出版が古い整備本を見たら書いてありました。
チェーンからスプロケを外す
緩んだチェーンからスプロケットを取り外します。(チェーンカバーも外しています。)
取り付ける部品について
使用した部品は以下のものです。
○スプロケット本体
サンスター 206-15 (SEROW225などに適合のやつ)
○スプロケットホルダー
5H0-17456-00(ヤマハ純正部品)
○ボルト×2
97017-06010(純正)
他車種から流用可能な部品を探し出して下さった先人の方々に感謝いたします。
並べてみます。右が純正の14Tとカバーです。
スプロケホルダーははめ込んでから少し回す(ずらす)ことでボルト穴に合います。
スプロケ本体は一番奥まで押し込まなくても大丈夫です。ボルトが締めやすい位置で止めておきます。
ボルトを締めます。これも外す時と一緒で1速&リア接地でやると空回りしません。
チェーンの張りを調整し、緩めたボルトを締め、外したカバー類を戻します。
リアブレーキがしっかり掛かるよう、ブレーキロッドのナットを回して調整します。
※注意
スプロケが大きくなりチェーンの張り方が変わることで後輪の位置も以前とは変わっています。
そのままではリアブレーキが効かないおそれがあります。必ずリアブレーキの調整をしてください。安全に関わります。
同時にリアブレーキランプの点灯タイミングも確認する必要があります。ブレーキペダルの根本付近から上に伸びている細い棒を辿っていくとバネがあり、その上にある樹脂製ナットを回せば調整できます。
純正のチェーンは評判通り伸びやすいので、近いうちに取り替えることになりそうです。
おわりに
14Tから15Tに変えた乗り心地の変化は上に書いた通りです。個人的にはかなり快適になりました。
「ノーマルはローギアード過ぎて扱いにくい」
「加速が悪くなっても構わないから燃費を良くしたい」
「回転数を下げて静かに巡航したい」
という方におすすめのカスタムです。
加速を重視したい方はそのままでも良いと思います。
おことわり
筆者はバイク整備素人のため情報の正確性は保証しかねます。自らの責任において整備していただきますようお願いいたします。
また、チェーン周りやブレーキなど安全に関わる部分に手を加えますので、整備に自信の無い方はバイク屋さんなどベテランの方に頼んだり、助言を受けたりする事をおすすめします。
少しでも整備に不安がある場合には、プロに任せるのが安心で安全です。