原付二種と厄介な自動車専用道路について

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自動車専用道路について思うところがあるので書きました。

制限速度が低い区間は125cc以下のバイクも通らせてほしいという話や、無料の高速をバンバン作って大丈夫なのかという話です。

原付二種と高速道路

自動車専用道路看板

筆者の乗っているYB125SPは、名前に入っている「125」が示すように排気量125ccの原付二種バイクです(※厳密には124cc)

原付一種(50cc)のような30km/h制限や二段階右折の必要はないものの、高速自動車国道自動車専用道路の通行はできません。

まず、道路の分類についてざっくり説明します。

高速自動車国道

高速自動車国道とは、都市と都市を結び広い範囲に伸びる自動車のみが走れる道路で、主にNEXCOが管理しています。原則有料で法定最高速度は100km/hです(※一部120km/h区間もあり)

高速自動車国道の代表的な路線を挙げると、東名高速道路、名神高速道路、中国自動車道、東北自動車道などがあります。

自動車専用道路

対する自動車専用道路は、高速自動車国道より地域密着型で比較的狭い範囲の移動を目的に作られた道路です。その名の通り自動車のみ通行可能となっています。法定最高速度は一般道と同じく60km/hですが、標識を設置し80km/hまで引き上げている区間もあります。

自動車専用道路には、一般国道のバイパス区間など、無料区間が数多く存在します。その一方で、首都高速道路をはじめとする都市高速道路など、有料で運営される自動車専用道路もあります。

高速道路

高速自動車国道と自動車専用道路をまとめて高速道路と呼ぶことが多く、世間ではほぼ同じものとして扱われています。

実際、両者の違いは曖昧です。地域密着というより都市間移動のために建設された自動車専用道路もありますし、近年では無料の高速自動車国道も建設されています。

100km/hは無理だが60km/hなら……

さて、ここで原付二種に話を戻しましょう。高速自動車国道を走れないのは性能面から仕方ありません。最高出力が約9.7馬力のYB125SPでは100km/hの流れに乗るのは難しそうです。

やろうと思えば100km/h出すことも不可能ではないと思いますが、そこに至るまでの加速や坂道での速度キープに難がありそうです。

しかしながら、60km/h制限の自動車専用道路まで通れないのは納得がいきません。60~70km/hでの巡航程度なら性能面での問題はないはず。一般国道のバイパス区間が自動車専用道路に指定されていることが多く、通れないのはとても不便です。

突然現れる自動車専用区間!

高速自動車国道は一般道とはっきり分離され、インターチェンジから出入りしますが、自動車専用道路はそうとも限りません。

一般道走行中に突然「自動車専用」の標識が現れ、気づかずに直進すると入り込んでしまう箇所が日本各地に数多く存在します。

実例として下にストリートビューを貼っておきます。

まず琵琶湖西岸の国道161号ですが、標識を見落としてまっすぐ行くと志賀バイパスの自動車専用区間に侵入することになります。

次の例は尾道の国道2号。道なりに進むと自動車専用道路「尾道バイパス」「木原道路」の入口へ行ってしまうので、標識が目に入ったら即、左の道に進まないといけません。

一応、この場所の500m手前に緑看板はあるものの、直進で自動車専用道路に侵入するとは書いていないので初見の人には厳しいでしょう。せめて見えやすいところに「125cc以下は側道へ」とでも書いておいてほしい。

そういった表示がない理由を考えてみましたが、厳密に自動車専用区間が始まるのは陸橋を渡ったところにあるインターからで、まだ下道へ戻るルートが残されているからかもしれません。

このような分かりにくい自動車専用道路入口は主要な国道のバイパスに多いです。125cc以下のバイクを狙った罠かとツッコミたくなるような分かりにくさ。初めて通った際、誤って入り込んでしまう原付バイクも少なくないのでは?

まあ、多数派である車(四輪)にとっては、道なりでバイパスに入れたほうが便利なのでこういう構造になってるんでしょうけど……。

あと、同じ番号の国道のバイパスでも、原付二種が通れる区間とそうでない区間に分かれていることがあります。これが紛らわしい。

国道走行中に信号のない高架区間に来ると、標識を見落として自動車専用道路に入りこんでしまったのではないかと心配になることがよくあります。

昔のバイパスと今のバイパス

昔からある国道バイパスは自動車専用道路でないことが多い気がします。一方、新しいバイパスはことごとく自動車専用になっているような印象が……。

また、最近のバイパスは高架橋やトンネルがメインで、お金が掛かっているものが多いように思います。交差する道路の少ない田園地帯を通っているものでもなぜか高架になっています。

巨大な橋と長いトンネルで勾配やカーブを減らしている走りやすい構造です。無料の一般国道なのに有料の高速自動車国道とほぼ変わらない設備の道も増えています。

無料の高速、維持管理は大丈夫?

有料の高速自動車国道と見分けがつかないレベルで豪華なのに通行料が無料の道があちこちに作られています。日本は財政に余裕がないらしく国債頼みで、税金も上がっていますが、莫大な建設費が掛かる高速道路を無料で開放して大丈夫なのでしょうか。

下道の古いトンネルでさえ料金を徴収しているところがあるのに、はるかにお金が掛かっているであろう高速道路が無料で通れるのは不思議。どこからお金が出ているのか気になります。

高い通行料を徴収しているNEXCO管理路線でさえ地方部は収支が厳しいと聞きます。高架やトンネルが主体の維持費が高い道路を、長期的に無料で維持管理していけるのか不安になります。有料化しないのであれば、後々増税ってことになるのでは?

もし財政に余裕があるのなら増税は止めてほしかったですね。小排気量バイクの軽自動車税は、元が安かったとはいえ、2015年の改正で大幅に上がってるんですが……。50cc以下は2倍、125ccは1.5倍になりました。

ガソリンの税金も相当高いです。ガソリン価格はかなりの部分が税金で、その税金に消費税が掛かるという謎の仕組みになってますからね。

無料の高速道路は昔からあるが……

無料の高速道路について古い例を挙げると名阪国道があります。無料ですが有料の高速道路のような作りをしています。信号や交差点がなく、標識も緑色。分類は一般国道の自動車専用道路です。

なお、建設時期が古いため現代の一般的な高速道路と比べると余裕のない設計で、事故率が高いみたいです。加速車線が極端に短いインターも一部で有名でした。改良工事で少しずつマシにはなっているようですけどね。

以前は名阪国道のような無料の高速は例外的なものでした。しかし最近になって、高規格でありながら無料で通れる高速が地方を中心に着々と建設されています。どうしてそんなことができるのか謎ですが、採算が取れないなら無料にしたほうがマシという理屈があるようです。

建設費を通行料で回収する方式だった高速自動車国道ですが、新直轄方式というのを使えば一般国道の自動車専用道路のように全額税金で作れるので無料にできるようです。

無料でいい道を走れるのですから悪い話ではないかもしれません。けれど高速道路の建設には相当なお金がかかります。財政がよろしくないはずなのに次々作られているのは不思議です。

また、道路は作って終わりではなく維持管理にもお金が掛かります。利用者から通行料を徴収しない以上、税金でやるしかない。かと言って簡単に増税されるのも困る。

今はまだ余裕があるかも知れませんが、将来、財政がさらに悪化した際、道路の維持管理に悪影響を及ぼさないか心配です。

管理が疎かになって橋やトンネルが崩れたりしたら洒落にならないですし、高速の管理を優先した結果、一般道(下道)を管理しきれなくなり、地方で廃道続出なんてことにならなければ良いのですが……。

リッチな道の恩恵

交通量の多い都市部・都市間に高規格な道路を建設するなら費用対効果も高いでしょうが、純然たる田舎にそんな立派な道路が必要なのか疑問です。

特に、元から車の少ない過疎地の高規格道路は誰が恩恵を受けるのか謎。下道でも信号が少なく速く快適に走れます。ひと続きの高速道路にせず、カーブやアップダウンの多い未改良区間だけバイパス整備したほうが安上がりでは?

別に田舎をバカにしているわけではありません。筆者も田舎民です。地方に道路を作るなと言っているわけではなく、身の丈にあった規格の道路で十分と言いたいのです。交通量の多い都市間路線はさておき、枝線や末端区間は高速道路にするメリットが小さいのでは?

さらに、原付二種ライダーにとっては、125cc以下通行不能な道が増えてもあまり恩恵がありません。下道(現道)の交通量が減って少し走りやすくなるくらいでしょうか……。それより下道を改良してくれたほうが嬉しい。

また、これは考えすぎかもしれませんが、地元も完成後の立派な道路をそこまで欲しているわけではなく、高速道路建設という大事業によって地方経済を回すのが主目的のようにも見えてしまいます。人口減少や産業の衰退が進む地方の救済策という面もあるのかも?

鉄道の話になりますが、かつて存在した国鉄は利用者が少ない過疎地域にも線路を引きまくった挙句、大赤字を出して解体されました。せっかく引いた線路もかなりの距離が廃線です。非常にもったいない。道路が同じ轍を踏まなければいいのですけど。

(※厳密には建設を担ったのは国鉄ではなく日本鉄道建設公団です)

対面通行なら下道改良で十分かも

地方の高速道路は対面通行で、中央にラバーポールが立っているタイプがメイン。

このポールには、車線はみ出しを防ぐ力はありません。よって車同士が高い速度で正面衝突する危険性があります。そのため制限速度は70km/hまでと低めに設定されています。

また、追い越しができないため1台遅い車がいるだけで流れが悪くなります。せっかちで遵法精神に欠けるドライバーのあおり運転を誘発するリスクもあります。

さらに、事故や工事の際には上下線を通行止めにする必要も出てきます。色々と問題点の多い構造です。最近はポールの代わりにワイヤーロープやコンクリート壁が設置されているタイプも増えているものの、正面衝突のリスクを減らすだけで他の問題点は解決できていません。

そもそも交通量が少ないという理由で4車線化できない過疎地の区間は、無理をして豪華な高速道路にせず、素直に下道の改良でいいんじゃないのかなと思います。高速にしたところで70km/h制限&追い越し不可だと、そこまで時間短縮になりません。

カーブやアップダウンの多い区間の改良、市街地を避けたバイパス建設、交通量が多めの区間に絞った4車線化のほうがコストが掛からないし、利用者にとっても便利だと思うのですが。

個人的には対面通行の高速道路を走ると精神的に疲れるので、車(四輪)に乗っている時でも極力避けるようにしています。よっぽど急いでいる時以外は下道を走ったほうがマシ。

お金に余裕があるならどんどん4車線化を進めるべきだと思いますが、NEXCOの管理する有料区間でさえ地方には対面通行が多く残されています。無料区間の4車線化はなかなか難しいのでしょうね。

ただし無料でも「暫定2車線」という名目で作られている区間は、将来的に4車線化される予定になっているようです。その将来がいつになるのかは分かりませんけどね……。

ちなみにコンクリ壁やガードレールで中央分離帯が作られている区間は「完成2車線」という、4車線化の予定がない区間です。永久に対面通行である代わりに強力な正面衝突対策が施され、制限速度が80km/hまで引き上げられていたりします。

全線4車線化が厳しいなら、せめて一定の間隔で追い越し車線を設置してほしい。1台遅い車がいるだけで全体の速度が落ちるようでは、高速道路を作った意味がありません。

並行する下道が信号が少なく流れが良い道路だった場合、ノロノロ高速を走るのと所要時間が変わらないこともありますからね。

主要路線の旧道は辛い

話を原付二種に戻します。一般国道の自動車専用区間は125cc以下のバイクにとって非常に厄介な存在です。そのまま侵入するわけにいかないので旧道へ迂回することになります。

都市間を結ぶ主要な国道(※番号の小さい路線)の場合、旧道に迂回するとゴチャゴチャした市街地に入り込むことが多いです。大抵は二車線で信号だらけの道。なかなか前に進めません。

道沿いの店舗から出てくる車も多く気が抜けません。朝夕を中心に酷く渋滞していることも多いです。こんな道に入り込むとツーリングの楽しみが減りますね。事故に遭うリスクも高まるわけで、極力走りたくありません。

バイパスが自動車専用でなければこんなことにはならないんですけどね。

筆者がツーリングに行く場合、市街地を避け、自動車専用のバイパスも避け、大きく遠回りになっても交通量の少ないルートを選ぶことが多いです。道が空いている山間部や海岸線を走ったほうが楽しいですから。

最高速度が低い区間は通らせて

前から思っていたのですが、最高速度が低めの自動車専用道路は原付二種が通れるようにしても良いのではないでしょうか。なんで閉め出すのでしょう? 今時やっすい中華バイクでも60km/hくらい余裕で出ますからね。

ちなみに岡山ブルーラインは高架で交差点もない高速みたいな道路ですが原付二種でも通れます。

軽車両、自転車、歩行者は通行止めですが原付の規制はありません。

なお、ブルーラインの制限速度は60km/hです。

自動車専用道路は現在、どういった理屈で125cc以下の通行を禁止しているのか分かりません。50cc以下なら法的に30km/hしか出せず邪魔になるというのは分かりますけど……。

だいたい、同じような規格・制限速度なのに通れる区間とそうでない区間があるのには納得がいきません。

制限速度60km/hの区間は、自動車専用をやめて「歩行者・軽車両・50cc以下の原付通行禁止」に変えてもいいのではないでしょうか。看板を取り替える費用は掛かりますが、新しく道を造るのに比べれば安上がりでしょう。

とはいえ残念ながら、そう簡単にルールは変わらないと思います。陳情しようにもバイク人口が減り、原付二種でどうしても自動車専用道路を走りたいという人は多くないでしょうし……。

趣味でバイクに乗る人は250cc以上に乗っていることが多いのであまり関係がなさそうです。もし将来的にバイクの利点が再評価され、通勤通学などで原付二種バイクを使う人が増えれば要望が通りやすくなる可能性もありそうですけどね……。

色々書きましたが、現状では排気量の大きいバイクに乗り換えるか、ボアアップして軽二輪登録するしかなさそうですね。

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